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熊本


4月23日24日、地震から10日が経過した熊本へ支援活動にいってきました。
私のいった支援活動は、福岡の宮本さん(悠山想)の声かけで、今回被害にあった熊本市南区川尻の瑞鷹酒造と古川さん(古川設計室)の事務所の応急的復旧の為のボランティア活動です。省エネ法義務化や伝統的工法の利用促進にご尽力されている古川さんに、体力仕事で少しでもお力になれればと思い、寝袋・ヘルメット・カッパ・長くつを持って行ってきました。私の主な作業は、屋根から落とされた瓦や土を、スコップと一輪車で運ぶ作業。
詳しい状況は、古川さんの【小さな町 川尻の震災報告】 をご覧下さい。

今回の熊本では、建築設計において最も重要な「人の命を守る事」について、より深く考える事ができた。
震度4以上を体験したことのない私にとって、大地震直後の建物状況・修復活動を直に見聞きした事は、ニュースや本や話よりも頭に残った。
これから建物の新築・改修設計をしていくうえで、災害に対する安全性・暮らす上での快適性・風景としての意匠性・長い時間持つ耐久性のバランスの考え方や、いずれ起こるだろう東海地方の地震被害や修復活動の考え方等を深める貴重な体験となりました。


こちらは、瑞鷹酒造の蔵開きのお茶席で使用していた場所だそうです。
川尻の皆さんが、またここで酒を酌み交わす日が早く訪れる事をお祈り致します。

【廊下に転がっている角材は、前震後に応急的に入れた筋かいが、本震で破断したもの。小壁は落ち、回縁の隅柱は1/9、和室の柱は1/14。】
【川尻地区は、震源から10km、深度6弱を記録。30m平均S波速度186m/s。





私が見聞きして感じたメモを、少し書きます。
私が直に見た場所は、熊本空港からバスで益城の被害の少ない場所・熊本城を通り、熊本駅から電車で川尻へ、その後徒歩で川尻の街を見ました。また地元の工務店さんや建築士さんから、写真を見せていただいたり、前震と本震の状況のお話を聞ききして感じたことです。

初めて見る大地震の第一印象は、土地です。
建物被害は、もちろん建物の古さ(耐震性)の影響はありましたが、本や映像で想像していた以上に、それぞれの土地の地盤の影響が大きいと感じた。
例えば住宅地を歩いていると、同じ頃に建てられた建物が道を挟むだけで、被害状況が全く違った。それぞれの土地に局地的に被害や液状化が発生している状況を見ると、地震に対しては、建物より土地なんだろうなと。ただ、隣同士の土地でも耐震性以上に地盤による被害状況が違うわけで、地震に強い土地を選ぶ細かい物差しは正直ないと思いました。
昔からの家が建っている土地はいいのではないかと思っていましたが、古い民家や蔵は震度6弱でも被害を受けている。昔からといっても、100年ぐらいでは昔とは言わないかもしれませんが。また、山間地は平野よりもいいと思っていましたが、映像では益城の山間の民家も震度7の激震には耐えられなかった。実際に見てはいないので、造成されていた場所かもしれませんが。
100年単位で起こる大地震が、いつ近くで発生するかわからない怖さを感じました。

大まかな土地の物差しの一つには、限界耐力計算に利用する、地盤増幅率(Gs)が参考になります。
下の地図は熊本周辺の地盤増幅率のデータです。赤→黄→青の順番に地震の影響を低減します。
右のサイトに住所を入力すると、住所毎の地盤増幅率が調べられます >>> http://www.asahi.com/special/saigai_jiban/


こちらは東海・近畿地方。(縮尺同じ)




石場建ての建物被害について

古川さんは熊本で多くの石場建てを手掛けており、私は実際に見てませんが直接見に行かれた古川さんや工務店さんのお話や写真から。
今回の地震では、柱建ちの石場建ては実際に動いた。というより、全体が飛んだのでは。思っていたより、土壁がエネルギーを負担するより先に動いたのでは。玄関・勝手口や造作浴室回りは、柱建ちの箇所に比べ摩擦が大きく損傷したのでは。川尻でも寺院などの正面の大きな庇部分の被害を数ヶ所見た、足固めが差さっていない独立柱が滑ったのだと思う。動きやすい柱建ちの場合は、足回りを固める事、平面的に柱と石の摩擦のバランスを考える事、礎石の平面は余裕を持つ事。
古い敷き土台の石場建ては、摩擦が大きい為か、ほぼ滑らず変形や小壁・土壁がエネルギーを負担したのでは。東海地方の古い家は敷き土台が多いので、同じような被害になると思う。古い建物で頬杖で補強してある柱の土壁が損傷していた。全体のバランスと、部分的に堅くしない補強は必要。

映像では瓦の被害が多かったが、実際古い建物の瓦は落ちたりずれたりしていた。数は少ないが新しい桟葺きの瓦は落ちていないようです。
震度6弱の地域では、比較的新しい建物(現在の建築基準)の全壊は想像以上になかった。地盤によるが、固めることで倒壊は逃れられ部分的な損傷程度だと思う。コンクリート塀の被害は目立った。ニュースで流れている映像は、被害が大きな箇所で全体ではないですね。
震度7の地域は、そもそも構造計算の範囲を超えている。上限なしの地震と土地の崩壊に対し全壊を防ぎ人の命を守るための一つの方法は、固めて耐えるのではなく、動いて逃げる石場建ては良いと思った。建物がバランス良く動く事と、足元を固める事と、建物の逃げ先が必要・・・。被害の多くは、耐力不足で2階建ての1階が崩れる、または地盤による被害。



被災後の建物修復について

被災後の生活は、今回の熊本で現地を見て意識を強く持つようになりました。
なにより命が大切なのですが、家が被害を受け、余震でさらに被害が出るかもしれない状況や、雨などで家の劣化が進んでいく状況で、如何に早く復旧を行っていくのか。






愛知の石場建て 6230484908509161057
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