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岐阜の石場建て 土こね会


5月

敷地にて土こね会が始まりました。

岐阜の石場建てでは、お施主様と一緒に荒壁土作りからやっています。
今回、仕事お願いしている吉田左官さんにお願いして、初めて土作りの工程を経験させていただいています。

土と藁という素の材料が、時間によって建築の材料へと変わっていく姿をこの手で感じて、衝撃を受けてます。
この衝撃は、始めて自分で育てたお米が、翌年の種として蒔いて実った時と同じような感覚です、わかりづらいですね・・・。
ほんの数十年前には当たり前だった事ですが、頭では理解していても実際に体験すると、自然の力に興奮するもんなんです。

山で木を伐採して時間をかけて乾燥させる事、土と藁をコネて時間をかけて発酵させる事、こんな体験をすると「自然素材」という言葉を使うことが恥ずかしくなります。


土ですが、近くの泥コン屋さんにお願いしました。始めて泥コン屋さんに行きましたが、土と藁の山がドーンとあるだけ。

泥コン屋さんの土場には、三種類の土がありました。
左から、粘土、山砂、古土。
粘土は、多治見・瀬戸の山からだそうです。粘土にはいろんな色があるのですが、この辺りは赤が強いのが特徴です。鉄分の量に影響するそうです。
山砂は、その辺の山の砂だそうです。このあたりの粘土は粘りがありすぎるので、土を塗りやすくするための調整に使うそうです。
古土は、藁スサを混ぜて2年以上寝かせたものだそうです。すぐに使えるよう、ストックされていました。

今回は、この三種類の土を調合したものと藁スサを混ぜたものを、お願いしました。


追加で加える稲わらは、私の田んぼの稲わらを使いました。 >>> 土壁の藁

良い荒壁土は、粘りのある土に、藁をたくさん加えて、長期間寝かせてあるものだそうです。
藁は土とこねて寝かせておくと、2カ月もたたず腐って発酵し分解されていました。繊維系のセルロースと糊系のリグニンに分解され、セルロースは粘土が乾燥したときに粒子同士を繋げる役割をするので、たくさん入れる必要があり、 土10 に対して 藁5 以上は入れるそうです。
一度に入れるのではなく、時間をかけて何度かに分けて分解させることで、強さと粘りを兼ね備えた構造となるんですね。

土壁の素材は、山の土と田んぼの藁。この自然に還る二つの素材で100年持つ家を作ってきた昔の技術は、現代では理解する事すら大変ですね。
過去何百年と、普段の暮らしや天災の中で何度も失敗を繰り返しながら、家は進化してきたんですね、ほんの数十年前までは。
その歴史から考えると、何百年も進化し続けてきた伝統工法と数十年前に出てきた在来工法では、用途は同じ家でも、生物と製品ぐらい全く別物。
伝統工法の構造や温熱や費用などを説明しようとしても、知れば知るほど難しい・・・。


作業風景。お施主様は、藁の裁断係。
泥が届いたら、みんなで土こねです。
香ばしい土の香りに包まれて、藁と水を混ぜてクワでこねる、こねる・・・。


土の温もりと粘りを確かめながら、素足でコネたり。
数日寝かせておくと、表面に茶色の膜をはりますが、粘土の鉄分が酸化したものかな。

石場建ての限界耐力計算は、剛性と高い変形性能を持った土壁の上に成り立っている事を考えると、建築も自然も同時に成立させてしまう伝統工法は日本にふさわしい建築だと改めて感じます。自然に逆らい、50年で産廃となってしまう在来工法とは、どうしても土俵が違うと感じてしまう。


土こねは、なんだか、建築工事というよりは、牧歌的な畑作業の気分です。
こんな素敵な家作りの時間は、土壁ならではですね。この時間の積み重ねが、家への思いを育み、永く愛される家に繋がるんだと思います。

こちらは三月に植えた山紅葉。
次回は、手刻み会です。


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